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注目の制作会社の視点を探る
―Webサイトの構築・運用からドメイン名選定まで⑤―

“サービス体験×こだわりの写真”で最適な表現方法を導き出す
―株式会社フルスケール―

熊本市で10年にわたりWebサイト制作を手がけるフルスケール。クライアントの中心は県内企業だが、成果物のクオリティの高さゆえに県外からの問い合わせも多い実力派の制作会社である。彼らの武器は、クライアントの強みを見い出し、最善の表現へと導く力に長けていること。その秘訣について、代表取締役の尾方太郎氏、デザイナーの小林洋平氏、門岡智文氏に話をうかがった。

株式会社フルスケール
https://fullscale.jp/

左から門岡智文氏、尾方太郎氏、小林洋平氏

「とにかく良いものを作りたい。良い仕事をしたい」という思いを抱き、Webサイト制作を中心にコンサルティングやデジタルサイネージ、印刷物などの制作を得意とする。社員全員がデザイナーだが、ときにはライティングや編集も手がけるマルチなクリエイター集団。

クライアントの魅力の導き出し方

熊本で数々のWebサイトを手がけるフルスケール。彼らはどのようなスタイルでWeb制作に取り組んでいるのか。尾方氏はまず、熊本という地の特徴をこう話した。

「東京に比べて熊本はマーケットの流れを把握しやすく、お客様と密接に関わりながら取り組めます。反響もダイレクトに感じられ、やりがいを得られる環境です」(尾方氏)

同社スタッフは全員がデザイナーで、基本的に1サイトを1人が担当するという。また、案件に携わる際には、あることを実施している。

「サービスや商品を実際に体験するようにしています。そうしてクライアントの強みや魅力を分析し、提案へと落とし込みます」(尾方氏)

こうしたアプローチで、フルスケールは最適かつ最善の表現方法を導き出す。そして生まれたアイディアは、“こだわりの写真”によって補強される。

「クライアントの強みを訴求するために写真が欠かせないということは、言い換えれば写真にこだわらないと真の良さが魅せられないということ。その場合は、絶対に妥協せず、魅力を伝えられる写真を撮影します」(尾方氏)

この言葉を象徴するのが、天草のリゾートホテル「天草 天空の船」の事例だ。

「天空の船は素晴らしいパノラマビューを持つ場所にあるホテルです。実際に現地に足を運んだとき、すぐに『サイトでもこの景観を魅せるしかない』と感じました」(小林氏)

「撮影には3、4日間かけました。ホテルからの眺めや室内はもちろん、ドローンも使い、あらゆる角度から写真や動画を撮影して魅力を引き出すことに努めました」(尾方氏)

天空の船は、いまでは予約困難な大人気ホテルとなっている。もちろんWebサイトも、その一助となっているだろう。

また、熊本を中心に九州の農産品等の販売を行う「コムセンス」のサイトでは、社員や農作物の生産者の写真を多用している。これらをデザインに活かすことで、食品に欠かせない「安心・安全」というキーワードを演出した。こだわりの写真は、ビジュアル的な魅力を引き出すだけではなく、信頼感を醸成することにも有効となる。

天草 天空の船
http://www.tenku-f.jp/
絶景の多島海・松島を望む天草のリゾートホテル「天空の船」。その景観をはじめ、豪華な客室や地元素材をふんだんに使った料理など、数々の売りを持つホテルの魅力を表現するために、数日間かけて写真・動画撮影を行う。「現地に足を運んだ瞬間にイメージが見えた」と小林氏

「.jp」で信頼感や日本発を訴求する

天空の船とコムセンスでは、Webサイトのドメイン名に「.jp」を用いている。

「天空の船は海外観光客も多いので、日本らしさを演出できる『.jp』一択でした」(尾方氏)

「コムセンスは食品を扱う企業ですから、利用者に国産・九州産の信頼、安心感を与えられることと、1文字でも短くしたいという理由で『.jp』を選びました」(小林氏)

映像制作会社のREDOTの事例も、日本発を印象づけられるように「.jp」を採用している。

「REDOTは海外クライアントも多く、求人も国内外に向けて行っているため、随所で英語を併記しています。そのため、日本企業であることを表す『.jp』を使いました」(小林氏)

他にもドメイン名選定の考え方をこう話す。

「ブランディング目的のサイトは『.jp』にすることが多いですが、企業の威厳を出すためには『co.jp』が合っていると思います」(尾方氏)

「イメージや目的によっては『.com』を選ぶこともありますが、ほとんどの場合は、『.jp』か『.co.jp』を選びますね」(小林氏)

フルスケールが高クオリティのWebサイトを生み出しているのは、こうした細部にいたる思慮を積み重ねた結果だろう。

最後に、今後の展望について尋ねた。

「いまはどこでも、すぐに情報を取得できる時代です。熊本で積極的に知識と技術を身につけ、仕事に活かしていきたいです」(門岡氏)

「デザイン力を伸ばすことは大事にしつつ、自社プロジェクトにも力を注いでいきたいです」(尾方氏)

これから熊本発でどのようなデジタルコンテンツを生み出してくれるのか、楽しみだ。

コムセンス
http://www.comsense.jp/

九州地方の農産品や特産品の販売等を行う「コムセンス」のコーポレートサイト。社員や生産者の写真をデザインに活かし、「安心・安全」を訴求。フルスケールは、Webサイト制作だけではなくCI(Corporate Identity)や自社製品のパッケージ開発なども担当

REDOT
http://redot.jp/

VFXやCGなどの映像制作を行うREDOTのコーポレートサイト。「カッコよく、オリジナリティのあるサイトにしたい」というオーダーのもと、オリジナルのタイポグラフィを制作し、それを基調とすることで、映像制作会社らしからぬデザインとした。フルスケールとしてもチャレンジングな案件だったが、クライアントから好評を得たという

JPドメイン名の種類

JPドメイン名は大別して3つの種類がある。それぞれの特徴や意味を把握しておこう。

汎用JPドメイン名 ◯◯◯.jp

日本国内に住所を持つ組織・個人であれば、誰でもいくつでも登録できる。漢字やひらがな、カタカナといった日本語を使った、わかりやすく覚えやすいドメイン名にすることも可能

都道府県型JPドメイン名 ○○○.aomori.jp ○○○.東京.jp など

日本国内に住所を持つ組織・個人であれば誰でもいくつでも登録できる。北海道から沖縄まで47都道府県すべてあり、○○○の部分と都道府県名の部分は日本語でも登録できる。地域とのつながりをアピールしたいサイトにおすすめ

属性型JPドメイン名 ◯◯◯ .co.jp など

企業(co.jp)や大学(ac.jp)など、組織の種別ごとに区別されたドメイン名。日本で登記/設立された組織が、一つの組織につき一つだけドメイン名を登録できる。また、組織設立の6カ月前から登録できる(仮登録)制度もある

Web Designing 2017年8月号 掲載