注目の制作会社の視点を探る
―Webサイトの構築・運用からドメイン名選定まで②―
制作会社の細やかなサポートで
クライアントのビジネスを加速させる
―株式会社エヴォワークス―
エヴォワークスは、Webサイトの受託制作を主領域としながらも、ECサイトの運営、メディアコンテンツ運用まで幅広く手がけ、顧客と深い関わり方をしている。普段、どのようにきめ細かくクライアント案件をサポートしているのか、代表取締役の矢野賢史氏、ディレクターの大木健二氏、テクニカルディレクターの大越俊輔氏に、話をうかがった。
顧客にも社内にも有益な組織づくり
エヴォワークスは、クリエイティブ力を武器にしながらも、運用面までトータルにサイト制作を手がけている。クライアントの8割は直接案件で、継続的なビジネスになることが多い。代表的なところではワコールやANA、スルガ銀行などがある。
老舗スポーツボールブランド「TACHIKARA(タチカラ)」のサイトでは、制作だけでなく、ECサイトの売り上げをシェアする成果報酬型で運用している。
「ECサイトでは、名前入りのカスタムボールを作ることもできて、結婚式などのギフトとして、人気を得ています」(矢野氏)
「もともとは、ECサイトをつくりたいが社員数が少ないので、ボールの製造やスポーツシーンを盛り上げるといった本質的な業務以外に発生する、大量の雑務に対応するのが難しいというご相談をいただきました。そこで、ECサイトの運営やサポート業務、物流や撮影まで弊社で行っています」(大木氏)
TACHIKARAのボールは国内外で、スポーツマンたちの支持が高い。あとは売るための場と運用の人手を欲していたところ、このような関わり方がマッチしたのだろう。
「弊社としても、働き方を多様化できるというメリットがありました。運用業務はサイト制作業務に比べて労働時間を固定しやすく、子育て期の社員などに担当してもらいやすいんです」(矢野氏)
会社の労働環境づくりとしても、興味深い話だ。また、TACHIKARAではドメイン名に『tachikara.jp』を採用している。
「TACHIKARAは、国際的なブランドとして展開しています。世界に向けてのブランドECサイトの位置付けだったので、日本から発信していることが伝わる『.jp』を選びました」(矢野氏)
ドメイン名をデザインする
エヴォワークスでは、ドメイン名の提案をする場合、他にもいくつか配慮している点があるという。
「まずは、読みやすさです。たとえば弊社でサイト制作を手がけている『Reborn-Art Festival』というフェスのサイトでは、ドメイン名は『reborn-art-fes.jp』としています。Rebornとartとの間にはもともとハイフンが入っているのですが、artの後ろにも入れることで単語の区切りと意味を認識しやすくし、festivalもfesと短くまとめることで、パッと見たときに読みやすくなるようにしました」(矢野氏)
「スマートフォンでは、ブラウザ上部にすべてのURLではなく、ドメイン名のみが表示されることになります。そうした点からも、わかりやすいドメイン名というのは、重要になってきますね」(大越氏)
ほかにも、同社が手がけた『.jp』を採用しているサイトに、このようなものがある。
「京都の反物の魅力を海外に向けて発信していく『tangotango』というサイトでは、TACHIKARA同様に日本発であることをアピールするため『.jp』の採用を提案しました」(矢野氏)
ドメイン名にいたるまで、細かな配慮がうかがえるエヴォワークス。近年、受託制作から自社サービスへの転換を図るWeb制作会社が増えているが、今後の展開をどのように考えているのだろうか。
「Webサイト受託モデルというのは、変わらないと思います。むしろ、今後はさらに提供できるサービスの領域と深さを増していくことで、事業としての幅を増やしたいと考えています」(矢野氏)
JPドメイン名の種類
JPドメインは大別して3つの種類がある。それぞれの特徴や意味を把握しておこう。
○汎用JPドメイン名 ○○○.jp
日本国内に住所を持つ組織・個人であれば、誰でもいくつでも登録できる。漢字やひらがな、カタカナといった日本語を使った、わかりやすく覚えやすいドメイン名にすることも可能
○都道府県型JPドメイン名 ○○○.aomori.jp ○○○. 東京.jp など
日本国内に住所を持つ組織・個人であれば誰でもいくつでも登録できる。北海道から沖縄まで47都道府県すべてあり、○○○の部分と都道府県名の部分は日本語でも登録できる。地域とのつながりをアピールしたいサイトにおすすめ
○属性型JPドメイン名 ◯◯◯ .co.jp など
企業(co.jp)や大学(ac.jp)など、組織の種別ごとに区別されたドメイン名。日本で登記/設立された組織が、一つの組織につき一つだけドメイン名を登録できる。また、組織設立の6カ月前から登録できる(仮登録)制度もある