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ドメイン名で効果的なブランディングを:
ブランドと地域のつながりが伝わるアドレス――「都道府県型JPドメイン名」の日本語化がもたらすメリットとは

 2014年11月3日から「都道府県型JPドメイン名」(「○○○.都道府県名.jp」)の都道府県名部分に日本語が使えるようになった。そのメリットを解説していこう。

ドメインで伝わるもの

 2008年の分野別トップレベルドメイン(gTLD)導入ルールの大幅な自由化、2012年の申請受付を経て、今年からgTLDが大幅に追加され始めた。実際に運用が開始されたgTLDの中には今までにない個性的なものも多く、ドメインへの注目は非常に高まってきている。

 また、あらゆる企業でインターネットの重要性はますます高まっている。直接的なビジネスの場であったり、オウンドメディアであったり、マーケットであったりと、多くの企業にとって欠くことのできない複合的なインフラだ。そのため、ドメインはインターネットにおける「屋号」のように重要なものとなっており、時として何百万円という額で取引きされるほどのバリューを持つこともある。

 だが、ドメインの取得が原則先願主義ということにとらわれ過ぎて、ただ「空いているから」という理由だけで深く考えずにトップレベルドメインを選択するのは好ましくない。ドメインは第2レベル、第3レベルだけで成り立つものではなく、トップレベルまで含めてその印象や伝えたいことを考えて選ぶべきだ。

 そのために知っておかなければならないのが、「どのドメインでなにが伝わるか」ということ。たとえば「.co.jp」だと信頼できる日本企業という印象が強い。実際、97%の上場企業が「.co.jp」を取得しているという調査結果もある。また、「.co.jp」が企業や組織を対象としたドメインであるのに対し、日本の製品/サービスには「○○○.jp」のような汎用ドメインが使われることが多い。

 その一方で、よく見かけるドメインの1つ、「.com」にはグローバルなイメージがある。もっとも、「.com」は元々、商業組織用を意図したものだが、個人でも取得できるため、企業という印象を持たない人も少なくない。

 このようにトップレベルドメインごとに異なる登録条件や価格、また、今までの統計的な実績などから、すでにイメージが醸成されているドメインは多い。中にはSPAMメールやフィッシングサイトに多く利用されるトップレベルドメインもあり、そのことが原因でトップレベルドメイン単位でメールの受信自体をブロックしているユーザーもいる。

 ドメインは長く使って企業や製品の「顔」となっていくものだ。企業や製品の評価、ネームバリュー、知名度とともに価値が上がっていくため、途中で簡単に変えられるものではない。だからこそ、最初の選択であるトップレベルドメインは慎重に選ぶ必要がある。

都道府県型JPドメイン名で伝わること

 そんななか、いま特に注目したいのが都道府県型JPドメイン名だ。ドメインの中に「○○○.aomori.jp」「○○○.tokyo.jp」「○○○.nagasaki.jp」など、47都道府県名が含まれるもので、言うまでもなく「地域との強い結びつき」が伝わるメッセージ色の強いドメインとなっている。さらに11月3日より、「○○○.青森.jp」「○○○.東京.jp」「○○○.長崎.jp」のように都道府県名部分に日本語が選べるようになった。

「○○○.青森.jp」「○○○.東京.jp」「○○○.長崎.jp」のように都道府県名部分に日本語が選べるようになった

 都道府県型JPドメイン名を使えば、どの地域に関係するWebサイトなのか、これ以上ないと言っていいほどの明確さで伝えることができる。もともと「.jp」自体が日本を表すトップレベルドメインであるため、そこに連なる形で都道府県名が入っているので誤解されにくくなるメリットがある。

 この都道府県型JPドメイン名は、都道府県にひも付いたブランド(青森のりんご、宮崎のマンゴーなど)や、どこの都道府県かは馴染みがなくても地域に根付いた有名なブランド(草津温泉、喜多方ラーメンなど)に適したドメインと言える。導入するメリットを1つずつ見ていくことにしよう。

 都道府県型JPドメイン名は、そのドメインに関係する企業、製品、サービスなどがどの都道府県に関連するのかが一目で分かる。しかもその地域に根ざした姿勢も伝わるだろう。地域の名前はそこに住む人たちにとってアイデンティティにも関わる重要なことであり、そこを大切にする姿勢が見えることはそこの地域にも、サイト運営者にとってもプラスに働くはずだ。

 また、都道府県にひも付いたブランドの場合、そのようなドメインが集まることによる相乗効果も期待できる。

 さらに、SEOに関しては通常の順位以上の効果が得られることも都道府県型JPドメインの強みだ。検索キーワードに「栃木 餃子」など都道府県名を使うユーザーは多い。そして、検索結果のアドレスにも都道府県名が表示されれば、ユーザーは関連のあるサイトだとひと目で分かる。アドレスそのものに訴求力があるからこそ、このような効果が期待できるというわけだ。もちろん、トップレベルドメインが「.jp」であるため、検索エンジンに日本向けコンテンツとターゲット設定されることも有利に働く。

 一方、ブランド自体の知名度は高くても、その都道府県名が何かはあまり知られていない、という場合はどうだろうか。

 この場合、該当サイトのアドレスに都道府県名が含まれると、ユーザーがパンフレットやチラシでそのURLを見たり、Webブラウザのアドレスを見ただけで、サイトに関連する地域とのつながりを連想させることができる。特にそれが日本語だった場合には、該当サイトと関係の深い都道府県がどこであるのか、一目瞭然だ。つまり、ブランドと地理的な場所が一致しなかった利用者も、アドレスを見ることでどこの都道府県にひも付くサイトなのかを判断することができる。

 知っている人にはたどり着きやすく、知らない人には知ってもらえる――この2つがあるからどちらからの来訪者に対してもアピール力が強い。

日本語の都道府県型JPドメイン名を選ぶ理由

 冒頭述べたとおり、2014年11月からは都道府県名の部分に日本語が選べるようになった。日本語というところで特殊な感じを持つ人もいるかもしれないが、2014年11月時点で汎用JPドメイン90万件のうち、約12万件――13%近くが日本語ドメインを取得している。また、2010年時点で主要Webブラウザがすでに国際化ドメイン名(IDN)対応しており、現在利用できない環境はほぼないと考えていい。

アルファベットの登録数 87%、日本語の登録数 13%

 いずれにせよ、URLを記載した印刷物やWebブラウザのアドレスに、日本語で都道府県名が表示されたときのインパクトは大きい。それこそ、そのサイトがどの地域に関連したものなのか知らずに辿り着いた人に対しても印象に残るはずだ。

 都道府県型JPドメイン名の都道府県名部分は、アルファベットも日本語も47都道府県すべてが用意されている。地理的名称TLDを持っている都市、都道府県もあるものの、あくまで個別での対応となっており、現時点では一部の都道府県しか用意されていない。自分が使いたい都道府県のドメインがあるとは限らない。

 日本国内を考えるならば、より馴染みの深い日本語の都道府県型JPドメイン名を、グローバル展開を視野に入れるのであれば、日本語とアルファベットの両方を取得するなど、使い分けるのがいいだろう。地域に根ざしながらも国際・国内両方を見据えたビジネスやブランディング戦略を考えるなら、都道府県型JPドメイン名の導入を検討してみてはいかがだろうか。

>>都道府県型JPドメイン名の登録や詳細

ITmedia PC USER 2014年11月14日 掲載