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Webサイト制作が決まったらすぐに準備しよう!

ドメイン名登録までの
6つのステップ

Webサイトを新規に公開する際には、住所となる「ドメイン名の登録」が必要だ。JPドメイン名の登録・管理を行う日本レジストリサービス(JPRS)の渡邊千裕さんに、ドメイン名を登録するまでには何を考えどんなことに注意したらよいのか、Web制作会社などが提案する場合はどういう工程で考えているのか、その手順とポイントについてうかがった。

Text:久我 智也 Illustration:高橋 未来

教えてくれたのは…

渡邊 千裕さん
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
上級ウェブ解析士・PRSJ認定PRプランナー

2012年からJPドメイン名の登録・管理に従事。ECサイトの企画営業を経験した後、現在は広報として、ドメイン名・サーバー証明書に関する情報発信や講演、Webサイトの管理を担う。趣味はSEO。

https://jprs.co.jp/

STEP 1 ドメイン名について考える

新規Webサイトの制作時は、サービス名やサイト名、Webサイトの課題やターゲットなどを考える段階で、ドメイン名も一緒に考えるのが望ましいです。WebサイトのURLは名刺やパンフレットなどにも記載するため、起業の場合は日本企業のための「co.jp」を仮登録するなど、早くから検討・登録するのがおススメです。

STEP 2 ドメイン名の文字列を決める

ドメイン名の文字列には、会社名やサービス名など、Webサイトの内容が伝わりやすいものを用いるのが一般的です。他にも、業態や地域名から活動内容を表現するなど、さまざまな工夫をすることができます。文字数は長過ぎず、混同しやすい文字がないようにし、顧客にとってわかりやすいものを心がけ、複数の候補を用意しておきましょう。

熊本の旅館「料理谷邸葛籠(つゞら)」がドメイン名を決めるまでの考え方や手順を取材した記事も参考になります

https://ドメインまるわかり.jp/webdesigning/23/index.html

STEP 3 TLDを決める

ドメイン名の末尾に入る「.jp」の部分をTLD(トップレベルドメイン)と呼びます。国や地域別のTLDを採用するとどこの国の組織・個人か伝わりやすくなるため、日本企業では「.jp」を採用いただくところも多いです。日本国内にある企業が原則1社1つしか登録できない「co.jp」は、その信頼性の高さからコーポレートサイトによく使われています。

STEP 4 空き状況を確認する

ドメイン名は先に誰かが登録したものは使えないので、文字列やTLDの候補を決めたら、それらが空いているのか調べます。早い者勝ちという意味でも、早く動くことが大切です。もし余裕があれば、間違えて入力されやすい文字列、1文字違いなどのドメイン名もあわせて登録しておくと、誤入力への対策や、なりすまし被害の防止になり安心です。

※希望のドメイン名が空いていない場合は再度検討する(STEP 2へ)

STEP 5 契約する事業者を決める

ドメイン名の登録は、ドメイン名を管理するレジストリと契約する事業者を介して行います。事業者は多数あり、提供しているサービスや価格は各社で違ってきます。ドメイン名更新時のお知らせ方法やマイページの提供有無なども各社で異なります。ドメイン名の件数が多い場合は、管理を一本化するのもいいでしょう。

STEP 6 ドメイン名を登録する

ドメイン名を登録する際の名義人は、クライアントにしておくのがよいです。なぜなら名義人はドメイン名に関する責任を負う立場となるからです。万が一ドメイン名に関するトラブルなどがあれば、名義人が当事者となります。名義人がクライアントであっても、ドメイン名の更新連絡などの窓口をWeb制作会社にすることはできます。

[ ドメイン名で選択できる主な要素 ]

○△□.jp

ドメイン名には、3〜63文字の英数字とハイフン(日本語ドメイン名の場合は1〜15文字でハイフン以外の全角記号も可)を選択できる。文字列には社名やサービス名といった、訪問者にWebサイトの内容が伝わりやすいものが選ばれることが多い

ドメイン名のドットで区切られた一番右側の部分は、TLD(トップレベルドメイン)と呼ばれる。「.jp」のように国や地域に割り当てられているccTLDと、「.com」のように分野別のgTLDとが存在する

[ ドメイン名と商標の注意点 ]

ドメイン名は、商標登録の有無を問わず空いていれば誰でも登録可能であるが、不正な目的によるドメイン名の登録や使用がある場合に、紛争処理機関に申し立て、その裁定によって解決を図るDRPという仕組みがある。JPドメイン名を対象としたJP-DRPでは日本語での申し立て・答弁書の提出が可能

[ TLDの種類と特徴 ]

ccTLD
.jp .us など
国や地域に割り当てられたTLD。ドメイン名から国や地域を表すことができる。「.jp」以外にも日本の組織・個人が登録できるccTLDはあるが、独自のルールがある場合がある
gTLD
.com .net など
国や地域によらないTLD。特定の領域・分野のためにつくられたものが多い。例えば、「.com」はもともと「commercial(商業的)」を表していた。「.com」の登録管理組織(レジストリ)はアメリカにあり、登録規則は英語
新gTLD
.site .tokyoなど
2012年の募集で1,200以上が新設された。料金が安い場合が多く、業態が伝わりやすいものなどがある。しかし歴史が浅いため、URLとして見慣れていなかったり、ドメイン名として認識されにくかったりすることもある

[ JPドメイン名の種類 ]

汎用
JPドメイン名
○○○.jp
日本国内に住所を持つ組織・個人であれば、誰でもいくつでも登録できる。漢字やひらがな、カタカナを使った日本語ドメイン名にすることも可能
都道府県型
JPドメイン名
○○○.aomori.jp
○○○.東京.jp など
日本国内に住所を持つ組織・個人であれば、誰でもいくつでも登録できる。47都道府県すべてあり、○○○の部分と都道府県名の部分は日本語での登録も可能。地域とのつながりをアピールしたい場合に適している
属性型
JPドメイン名
◯◯◯ .co.jp など
企業(co.jp)や大学(ac.jp)など、組織の種別ごとに区別されたドメイン名。日本で登記・設立された組織だけが、基本的には1つの組織につき1つだけドメイン名を登録できる(合併時などは例外あり)。組織設立の6カ月前から仮登録できる制度もある

本記事は株式会社日本レジストリサービス(JPRS)とのタイアップです。

Web Designing 2025年2月号 掲載