そのドメインで本当に大丈夫?:
トップレベルドメインの大幅増加で見直される企業ドメインのあり方
複数サイトを運営する場合のドメインの使い分け
前述したように「co.jp」は1組織に1つしか登録できない。単一サービスを展開している企業、つまり、特定サービスが組織の代名詞になるような場合はco.jpで情報発信していくことで、より強固なブランディングになる。サービス名と会社名が異なる場合は思い切って「(サービス名).co.jp」といったドメインを取得するのも手だ。これはサービス名に社名変更することと類似のケースになる。
だが、複数のサービスを提供しており、それぞれで情報を発信するのであれば、汎用jpドメインの「.jp」を用途に応じて使うのがおすすめだ。「.jp」は「co.jp」と異なり、1つの組織でいくつでも取得することができる。その条件は「日本に住所がある」ということだ。
昨今のSNSを使った詐欺やスパムメールなどの発信元は海外が多く、そのために海外で運用されているドメインのアドレスには身構えてしまう人もいる。ほかにも馴染みのないトップレベルドメインが来たら警戒するかもしれない。
それゆえに、日本に住所があることが登録条件である「.jp」ドメインは悪用されにくい。いまやインターネットの利用者のITリテラシーには大きな幅があるが、詳しい事情は知らなくても「スパムの差出人に多いドメイン」や「怪しいWebサイトに見られるドメイン」を経験上知っている、という人は多い。そういった人たちは感覚的に「.jp」に安心感を抱くはずだ。
実際、セキュリティ企業であるマカフィーの調査でもそのような結果が出ている。この調査は2009年と2010年の2回、2700万件以上のWebサイトを対象に実施された。そこから危険なサイトの割合を算出し、トップレベルドメインごとに集計したところ、「.jp」は2年連続で世界一安全な国別ドメインとなった。ちなみに「.jp」に続くのはガーンジー島(.gg)、クロアチア(.hr)、アイルランド(.ie)が並ぶが、「.jp」のサンプリング数46万4408件に対し、他の国別ドメインは1万2092〜3万2120件と大きな開きがあることも考慮すると、その信頼性の高さが分かる。
「.jp」は国内事業者による安心感、国内に住所があることの登録条件があることによる悪用のされにくさに加えて、文字数の少なさによるアクセスのしやすさ、複数取得可能な自由度など、サービスサイトに活用しやすいことが特徴なのだ。
ポイント2
コーポレートサイトは「co.jp」、サービスサイトは「.jp」で使い分ける。「.jp」は1組織でいくつでも取得できるが、両者ともJPRSがレジストリであるため信頼性は高い
地域とのつながりをアピールしたいなら「都道府県型」
もう1つ、「.jp」の種類の中には「都道府県型」というものがある。
これは「***.hokkaido.jp」、「***.tokyo.jp」、「***.nagasaki.jp」のように、全国47都道府県の名称を含むドメイン名だ。地域発、地域向けの情報提供を目的とした組織やサービスにはオススメできる。こちらも日本に住所があることが条件で、どの都道府県の文字列でも取得できる。
「***」の部分と都道府県名を組み合わせれば、その都道府県に関連した情報を発信するWebサイトであることを表せ、地域との繋がりをアピールできる。全国展開している企業や店舗の場合、第3レベルドメインを共通にして「itmedia.tokyo.jp」「itmedia.osaka.jp」のようにすると分かりやすく、かつ、統一性も保たれる。
Webサイトであれば同じFQDN(Fully Qualified Domain Name)を使って、「itmedia.co.jp/tokyo」「itmedia.co.jp/osaka」のようにディレクトリで分ける、という方法もあるが、この場合はリバースプロキシでも使わない限り、同一サーバで運用しなければならない。サブドメインを切って「tokyo.itmedia.co.jp」「osaka.itmedia.co.jp」とする手もあるが、「日本>企業>会社名」と来て、再度「都道府県」が出てくるところに違和感を覚える人もいるだろう。
もちろん、「.jp」ドメインなので管理はJPRS。信頼性も「co.jp」同様だ。
この都道府県型にはもう1つメリットがある。それはこの都道府県型のリリースは2012年11月で、まだ2年も経っていないということだ。取得可能なドメインが多数残されている今のうちに取得を検討したい。
なお、2014年11月3日より都道府県名部分が日本語のドメイン名の登録が可能となる。例えば「**温泉.長野.jp」、「**寺.京都.jp」、「**うどん.香川.jp」というものだ。都道府県名に日本語を使うことで、分りやすく、覚えやすく、伝わりやすいドメイン名にすることができる。
まとめ
企業と個人ではドメイン取得にあたって重視する点が異なる。手続きの面倒さ、コストの高さ(企業としてみればわずかだが)で信頼されるドメインが取得できるのであれば安いもの。企業情報、製品ページ、ブランドサイト、キャンペーンサイトなど、サイトの目的、想定利用者層、運用期間に応じて適切なドメインを選択しよう
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