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日経ビジネス

世界一安全な国別ドメイン「.jp」で
インターネットの基盤を支える

米セキュリティ大手も評価

 私たちが毎日、当たり前のようにアクセスしているインターネット。その基盤を支えるために重要な役割を担っている会社がある。日本のサイトのしるしである「.jp」のドメイン名の登録管理とドメインネームシステムの運用を行う日本レジストリサービスだ。同社の東田幸樹社長に、世界一安全(※2009年12月 米マカフィー調べ)と認められた「.jp」について聞いた。

株式会社日本レジストリサービス 代表取締役社長 東田幸樹氏

日本の「.jp」ドメインの安全を24時間365日体制で守る使命

JPドメイン名の種類と登録数
ドメインとは― インターネットの世界で、それぞれのコンピュータを特定するための住所のようなもの。ホームページURLでは「http://」、メールアドレスでは「@」の後ろに並ぶ文字列がドメイン名だ。最後の「.(ドット)」以降の部分をトップレベルドメイン(TLD)と呼ぶ。

――インターネットの世界で、御社の役割とはどのようなものですか。
 インターネットを通じてホームページやメールにアクセスする際の鍵となるのが「ドメイン」ですが、その中でも日本のドメインである「.jp」の登録管理とDNS(ドメインネームシステム)の運用をしているのが当社です。
 ドメインは、ネットワーク上のコンピュータに割り振られた番号「IPアドレス」を、人が分かりやすいように文字列で表したものです。その「IPアドレス」と「ドメイン」を対応づけているシステムをDNSサーバーといいます。
 当たり前のように繋がっているインターネットですが、万一このDNSサーバーがダウンすると、「.jp」のホームページやアドレスにはアクセスできなくなってしまうのです。このため、当社ではDNSサーバーを世界数十カ所に分散設置することでリスクを回避しています。お蔭様で、当社が「.jp」を管理するようになってから10年間、一度も事故は起こっていません。

登録管理とDNS運用の安全確保で認められた「世界一」

――米マカフィーの調査で、日本の「.jp」は世界一安全なドメインに選ばれました。
 この調査は、104のTLD(トップレベルドメイン:「.jp」や「.com」のようなURLやメールアドレスの末尾に表記されるドメイン)を持つ2700万件以上のWebサイトの情報を集め、ウイルスが配布されているなど危険なサイトの割合を算出し、TLDごとに集計したもの。「.jp」におけるその割合は0.1%で最も少なく、「最も安全な国別ドメイン」と評価されたのです。
 2000年に日本国内で起こった「.com」ブームをきっかけに、ドメインの商品化が進み、TLD間の競争が激化しました。現在では、価格競争や登録数の多さで競う流れもあります。
 そんな中で、「.jp」は安全性や信頼性に重きを置いてきました。マカフィーの調査結果は、表立っては見えなかった当社の取り組みが認められた結果であり、嬉しい限りです。引き続き価値の高いドメイン名を目指したいと思います。

――具体的に、安全確保のどのような取り組みが評価されたのだと思いますか。
 まず、「.jp」の登録にあたって、日本国内に住所があることを条件とすることで、チェックしやすい体制を取っていることが挙げられます。
 また、DNS運用では、詐欺(フィッシング)サイトなどに悪用されたドメインを見つけたら、国内外の事業者と協力し迅速に対処するといった対応や、適切でないDNSの設定がないかチェックするなどの事前の対策を絶えず実施しています。最近では、DNSのセキュリティを向上させるために、フィッシングなどを未然に防げるDNSSECという技術の導入も進めています。
 現在、「.jp」のようなTLDは世界に270以上もあり、管理している会社はそれぞれ異なります。その中で、当社ほど安全性の確保に注力している企業は他にないと自負しています。

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